図解でわかる危険物取扱者講座

密度と比重 - 似ているけれども違うモノ

密度と比重

ここでは、物質の密度、そして固体・液体・気体の比重について学びます。これらの性質が、危険物の特徴、保存方法、消火方法にかかわってきます。

密度比重は混同しやすい概念ですが、どの様に異なるのか確認していきましょう。

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密度 - 重いのか、軽いのか

密度とは、物質の単位体積あたりの質量のことです。単位は、g/cm3(グラム 毎 立方センチメートル)を用います。

密度とは、物質の単位体積あたりの質量のことです。

通常の物質は、気体が液体に状態変化するときのように、一定質量下で体積が減少すると、密度は大きくなります。

体積が減少すると、密度は増大

体積は、気体、液体、固体の順に小さくなりますので、それに伴って、密度は、気体、液体、固体の順に大きくなります。

体積と密度の関係

密度が大きいのか小さいのかは、日常生活でも無意識に感じています。例えば、鉄は重いイメージがあり、プラスチックは軽いイメージがあるのではないでしょうか。これは、密度の差を直感的に認識しているためです。

氷は水よりも軽い

水(H2O)は、固体(氷)の時の方が液体(水)の時より体積が大きくなる(密度が小さくなる)という特殊な性質を持っています。

1気圧4℃のときに体積が最小になり、密度は最大(1g/cm3)となります。つまり、同じ体積ならば、4℃のときが最も重くなります。

飲み物に入れた氷が浮いているのも、氷山が海に浮かぶのも氷が水より軽いためです。

氷は水より軽い

また、冬に湖に氷が張っても湖全体が凍ってしまうことはありません。これは、氷の方が、水よりも密度が軽く湖の表面から凍り始めるために生じる現象です。

逆に、水の密度が氷より小さかったら湖の底から凍り始め、魚も生きていることはできません。湖に住んでいる魚が冬にも生きていられるのは、水の密度の特殊性によるものです。

リチウムは最も軽い金属元素

リチウムは、固体の単体の中で最も軽い(最も密度が小さい)ことが知られており、その密度は0.534g/cm3です。また、最も軽い金属元素でもあります。

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比重 - 水との比較、空気との比較

比重とは、ある物質の質量と基準物質の質量との比のことです。基準物質には通常、空気が用いられます。比であるため、単位はありません。

液比重 - 水より重いのか軽いのか

液比重は水の質量との比較

固体や液体の比重を液比重(えきひじゅう)といいます。基準物質として、1気圧、4℃における同体積の水が用いられます。単に、比重といった時は、液比重のことを指します。

固体の比重を求める

液体の比重を求める

ある固体または液体の物質が、水の質量の何倍であるかを示しています。比重が1より大きいものは水に沈み、比重が1より小さいものは水に浮きます。

液比重が1より大きいか否か水より重いか否か)は、危険物の保存方法や消火方法に深くかかわってきます。実際の例を見てみましょう。

二硫化炭素の水中保存

二硫化炭素は、水より重く水に溶けないという性質を利用して、水中に保存することで、可燃性蒸気の発生を防止します。

二硫化炭素の水中保存

第4類危険物(引火性液体)の消火方法

ガソリンなどの多くの第4類危険物(引火性液体)は、水より軽いため、火災のとき注水すると、燃えた危険物が水の上に広がり、燃焼面積が広がる危険性があります 。

多くの第4類危険物は、水で消火してはいけない。

よって、による冷却消火ではなく、二酸化炭素粉末を用いた窒息消火を行います。

蒸気比重 - 空気より重いのか軽いのか

蒸気比重は空気の質量との比較

気体の比重を蒸気比重(じょうきひじゅう)といいます。基準物質として、標準状態(1気圧、0℃)における同体積の空気が用いられます。

すなわち、ある気体の物質が、空気の質量の何倍であるかを示します。

気体の比重を求める

蒸気比重が1より大きいか否か空気より重いか否か)は、危険物蒸気の引火の危険性に関わってきます。実際の例を見てみましょう。

第4類危険物の蒸気

ガソリンをはじめとした第4類危険物(引火性液体)の蒸気比重は1より大きく、空気より重いため、低所に溜まる性質があります。

第4類危険物の蒸気は、低所に滞留しやすい

その中でも第2石油類に含まれるテレピン油(テレビン油)の蒸気比重が、第4類危険物中で最も大きい(4.7)ことが知られています。

その蒸気は可燃性で引火の危険があるため、換気を十分に行って火災予防をする必要があります。

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