図解でわかる危険物取扱者講座

静電気と危険物

静電気と危険物

危険物にとって静電気とは、火災の原因となる非常に厄介な存在です。

静電気とは何なのか、静電気による火災を防ぐため、どのような対策が取られているのか見ていきましょう。

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静電気の種類

静電気とは、静止した電荷によって引き起こされる物理現象のことをいいます。(逆に、動いている電荷によって生じる物理現象が電流です。)

静電気は、物質が正電荷または負電荷を帯びることで生じます。なお、物質が電荷を帯びることを帯電(たいでん)といいます。

この帯電という現象ですが、基本的には電荷の逃げ場のない不導体で生じる現象です。金属の様な導体では、電荷を与えてもすぐに逃げてしまうので特殊な状況下でなければ帯電することはありません。

静電気を最も身近に感じるのは、冬場の乾燥期にドアを開けるときなどに起きる「パチッ」という放電においてでしょう。これは人が帯電していることで生じます。

どの様な理由で帯電するかによって、以下の様に分類されています。

摩擦帯電

摩擦帯電(まさつたいでん)とは、2種類の不導体同士を摩擦することで帯電することをいいます。こすった下敷きで髪の毛が引き寄せられるのも摩擦帯電が原因で起こる現象です。

接触帯電

接触帯電(せっしょくたいでん)とは、接触した2つの物質間で電荷の移動が起こることで帯電する現象のことをいいます。冬のドアノブで放電ショックが起こるのも接触帯電が原因です。

流動帯電

流動帯電(りゅうどうたいでん)とは、管内を流れる液体が帯電する現象のことをいいます。ガソリンスタンドの給油においてもホースで静電気が発生するため帯電を除去するアースが必要になります。

流動によって、静電気が発生することも(爆発します)

噴出帯電

噴出帯電(ふんしゅつたいでん)とは、噴出する液体が帯電する現象のことをいいます。ノズルから液体が高速で噴出するときなどに帯電します。

破砕帯電

破砕帯電(はさいたいでん)とは、固体を砕くことで帯電する現象のことをいいます。

剥離帯電

剥離帯電(はくりたいでん)とは、密着している2つの物体を引き剥がすことで帯電する現象のことをいいます。速く引き剥がすほど帯電量は増加します。

沈降帯電

沈降帯電(ちんこうたいでん)とは、液体中を他の液体や固体が沈むときに帯電する現象です。

凍結帯電

凍結帯電(とうけつたいでん)とは、液体が凍るときに帯電する現象です。

誘導帯電

誘導帯電(ゆうどうたいでん)とは、帯電した物体が接近することで帯電する現象です。物体同士が接触することなく帯電します。帯電物が接近すると電子が引き寄せられ偏りができるため生じます。

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静電気の発生しやすい条件とは…

静電気は、帯電しやすい状況であるほど、生じやすくなります。帯電しやすい状況は、次の通りになります。

  • 電気抵抗が大きい物質である場合(絶縁体または不導体不良導体という)。
  • 液体が配管等を流れるとき。(流速が速いほど発生しやすい。)
  • 湿度が低く乾燥しているとき。
  • 合成繊維の服を着用しているとき。

静電気の発生を防止するために

静電気が原因の災害を防ぐためには、静電気の発生・蓄積を防ぐ必要があります。以下がその対策です。

  • 電気抵抗が小さい物質(導電性物質)を用いる。
  • ガソリン等を給油するときは、流速を遅くする。
  • 湿度を高く(75~80%)保つ。
  • 静電気の発生しにくい木綿の服を着用する。

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