無機過酸化物
無機過酸化物(むき かさんかぶつ)とは、過酸化物イオン(O22-)を含む無機化合物のことをいいます。
なお、第5類危険物では有機過酸化物が指定されています。甲種を受ける方は対比してみるといいでしょう。
無機過酸化物は、「アルカリ金属の過酸化物」と「アルカリ土類金属の過酸化物」に分かれます。
無機過酸化物 | 特徴 |
---|---|
アルカリ金属の過酸化物 | 水と激しく発熱反応し多量の酸素を発生する。 |
アルカリ土類金属の過酸化物 | 水と反応する危険性は低いが加熱分解し酸素を発生する。 |
第1類危険物というと、注水による冷却消火のイメージが強いですが、無機過酸化物(特に、アルカリ金属の過酸化物)は水と反応し熱と酸素を発生させてしまうので、乾燥砂などによる窒息消火を行います。
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それぞれの物品の特徴、火災予防の方法、消火の方法は次のようになります。
過酸化カリウム(過酸化カリ) K2O2
カリウムの過酸化物です。過酸化カリともいいます。
特徴
- オレンジ色の粉末である。
- 約490℃で分解し始め、酸素を発生する。
- 大量の水と反応した場合、爆発の危険がある。
- 皮膚を腐食する。
火災予防の方法
- 加熱、衝撃、摩擦を避ける。
- 密栓して保存する。
消火の方法
- 乾燥砂などによる窒息消火を行う。
過酸化ナトリウム(過酸化ソーダ) Na2O2
ナトリウムの過酸化物です。過酸化ソーダともいいます。
特徴
- 黄白色(おうはくしょく)の粉末である。(純粋なものは白色)
- 660℃で分解し、酸素を発生させる。
- 大量の水と反応した場合、爆発の危険がある。
- 皮膚を腐食する。
火災予防の方法
- 加熱、衝撃、摩擦を避ける。
- 密栓して保存する。
消火の方法
- 乾燥砂などによる窒息消火を行う。
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過酸化カルシウム(過酸化石灰) CaO2
カルシウムの過酸化物です。過酸化石灰ともいいます。
特徴
- 無色の粉末である。(純粋なものは白色)
- 275℃以上で分解し、酸素を発生させる。
- 水に溶けにくい。
- 酸に溶ける。
- 希酸と反応して、過酸化水素を発生させる。
火災予防の方法
- 加熱を避ける。
- 希酸との接触を避ける。
- 密栓して保存する。
消火の方法
- 乾燥砂などによる窒息消火を行う。
過酸化バリウム(過酸化重土、二酸化重土) BaO2
バリウムの過酸化物です。
過酸化重土(かさんか じゅうど)、二酸化重土(にさんか じゅうど)ともいいます。なお、重土とは酸化バリウムを意味します。
漂白剤などに使用されています。
特徴
- 酸に溶けて、過酸化水素と酸素を発生する。
- 湿った紙や繊維素(せんいそ)と混合すると、爆発の危険性がある。
- 有毒である。
火災予防の方法
- 加熱、摩擦を避ける。
- 酸との接触を避ける。
- 密栓して保存する。
消火の方法
- 乾燥砂などによる窒息消火を行う。
過酸化マグネシウム(過酸化マグネシア) MgO2
マグネシウムの過酸化物です。過酸化マグネシアともいいます。
加水分解により、酸素を放出することから、バイオレメディエーションにおける好気微生物への酸素供給剤として使用されています。また、便秘薬としても用いられています。
特徴
- 無色の粉末である。
- 加熱すると酸化マグネシウムと酸素を生成する。
- 水に溶けない。(しかし、反応して酸素を発生する。)
- 酸に溶けて、過酸化水素を発生する。
- 有毒である。
火災予防の方法
- 加熱、摩擦を避ける。
- 酸との接触を避ける。
- 密栓して保存する。
消火の方法
- 乾燥砂などによる窒息消火を行う。
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