図解でわかる危険物取扱者講座

その他政令で定めるもの

第1類危険物には、「危険物の規制に関する政令」で定められた9つの品名があります。

  品名 主な物品
1 過よう素酸塩類 過よう素酸ナトリウム
2 過よう素酸 メタ過よう素酸
3 クロム、鉛またはよう素の酸化物 三酸化クロム二酸化鉛、五酸化二よう素
4 亜硝酸塩類 亜硝酸ナトリウム
5 次亜塩素酸塩類 次亜塩素酸カルシウム
6 塩素化イソシアヌル酸 三塩素化イソシアヌル酸
7 ペルオキソ二硫酸塩類 ペルオキソ二硫酸カリウム
8 ペルオキソほう酸塩類 ペルオキソほう酸アンモニウム
9 炭酸ナトリウム過酸化水素付加物 炭酸ナトリウム過酸化水素付加物

その中でも、特に重要な物品は、三酸化クロム二酸化鉛次亜塩素酸カルシウムです。

また、2012年7月に炭酸ナトリウム過酸化水素付加物が加わりました。

スポンサーリンク

過よう素酸ナトリウム(過よう素酸ソーダ) NalO4

過よう素酸ナトリウム(かようそさんナトリウム)は、有機合成における酸化剤として用いられています。

特徴

  • 白色の結晶または粉末である。
  • 水に溶ける。
  • 加熱すると約300℃で分解し、酸素を発生する。

火災予防の方法

  • 加熱、衝撃、摩擦を避ける。
  • 密栓して保存する。

消火の方法

ページのトップへ戻る

メタ過よう素酸 HlO4

  • メタ過よう素酸の構造式
  • メタ過よう素酸

特徴

  • 白色の結晶または粉末である。
  • 水によく溶ける。
  • 潮解性を有する。
  • 加熱すると約110℃昇華しはじめる。
  • 138℃で分解し酸素を放出し、五酸化二よう素になる。
  • 水溶液加熱するとオゾンを発生する。

火災予防の方法

  • 加熱、衝撃、摩擦を避ける。
  • 密栓して保存する。

消火の方法

ページのトップへ戻る

三酸化クロム(無水クロム酸、酸化クロム(VI)) CrO3

  • 三酸化クロム(無水クロム酸)の構造式
  • 三酸化クロム(無水クロム酸) 

三酸化クロム(さんさんかクロム)は、クロムめっきに使われる物質です。無水クロム酸(むすいクロムさん)、酸化クロム(VI)(さんかクロムろく)ともいいます。

重クロム酸カリウムと同じく六価クロム(クロムの酸化数が+6)であり、環境負荷物質として知られています。

特徴

  • 暗赤色(あんせきしょく)の針状結晶である。
  • 水より重い。(比重2.7)
  • 水に溶ける。
  • 潮解性が強い。
  • を加えると、腐食性の強いクロム酸になる。
  • エチルアルコールに溶ける。
  • ジエチルエーテルアセトンアルコールなどと混合すると爆発的に発火する。(参考:混合危険
  • 強力な酸化剤である。
  • 有毒である。(皮膚腐食させる。)
  • 約250℃以上で分解し、酸素を発生する。

触ると危険!

火災予防の方法

  • 加熱を避ける。
  • 金属製容器で保存する場合、で内張りしたものを用いる。

消火の方法

ページのトップへ戻る

二酸化鉛 PbO2

鉛蓄電池の電極として用いられる物質です。

特徴

  • 黒褐色(こっかっしょく)の粉末である。
  • 水より重い。(比重9.4)
  • 毒性がある
  • に溶ける。
  • アルカリに溶ける。
  • 電気の良導体である。(金属並みに電気をよく通す。)
  • 日光加熱により、酸素を発生する。

二酸化鉛から酸素が発生する反応

  • 塩酸と一緒に加熱すると、塩素を発生する。

二酸化鉛から塩素が発生する反応

火災予防の方法

  • 直射日光を避ける。

直射日光を避ける!

  • 加熱を避ける。

消火の方法

ページのトップへ戻る

亜硝酸ナトリウム(亜硝酸ソーダ) NaNO2

  • 亜硝酸ナトリウムの構造式
  • 亜硝酸ナトリウム

亜硝酸ナトリウム(あしょうさんナトリウム)は、金属の表面処理や漂白などに使用されています。細菌の増殖を抑制する効果もあります。ボツリヌス菌による食中毒対策で、ハムやソーセージなどの肉加工品に食品添加物として加えられています。

ちなみに、ナトリウムの硝酸塩である硝酸ナトリウムも同じく第1類危険物に指定されています。

特徴

  • 白色または淡黄色(たんこうしょく)の結晶性粉末である。
  • 水によく溶ける。
  • 水溶液はアルカリ性を示す。
  • 吸湿性を有する。
  • 加熱すると約320℃分解する。
  • を加えると、分解し三酸化二窒素(N2O3)を発生する。
  • アンモニア塩類シアン化合物と混合すると爆発の危険性がある。

火災予防の方法

  • 加熱、衝撃、摩擦を避ける。
  • 密栓して保存する。

消火の方法

ページのトップへ戻る

次亜塩素酸カルシウム三水塩 Ca(ClO)2・3H2O

次亜塩素酸カルシウム三水塩は、高度さらし粉漂白粉カルキクロール石灰といった様々な別名があります。プールの消毒に使われる物質です。

プール

特徴

  • 白色の粉末である。
  • 水より重い。(比重2.4)
  • 150℃以上で分解し、酸素を発生する。
  • により分解する。
  • により、急激に分解する。
  • 吸湿性がある。
  • と反応し塩化水素を発生する。
  • 空気中で分解し次亜塩素酸を生成するため、強烈な塩素臭がある。
  • アンモニアと混合すると爆発の危険性がある。

火災予防の方法

  • 加熱、衝撃、摩擦を避ける。
  • 密栓して保存する。

消火の方法

スポンサーリンク

三塩素化イソシアヌル酸(トリクロロイソシアヌル酸)C3N3O3Cl3

  • 三塩素化イソシアヌル酸の構造式
  • 三塩素化イソシアヌル酸

三塩化イソシアヌル酸トリクロロイソシアヌル酸)は、プールの殺菌剤や有機合成における塩素化剤、ウールの縮毛防止剤などに使用されています。

特徴

  • 白色の粉末または錠剤である。
  • 水に溶けにくい。
  • 水に溶かすと分解し、次亜塩素酸を遊離する。
  • 常温かつ単独で存在している場合は安定している。
  • プールの消毒に使用されている。

火災予防の方法

  • 加熱、衝撃、摩擦を避ける。
  • 密栓して保存する。

消火の方法

ページのトップへ戻る

ペルオキソ二硫酸カリウム(過硫酸カリウム) K2S2O8

ペルオキソ二硫酸カリウム(ペルオキソにりゅうさんカリウム)は、カリウムの過硫酸塩です。過硫酸カリウム(かりゅうさんカリウム)ともいいます。

排水処理における全窒素や全リンの分析に用いられます。

特徴

  • 白色の結晶または粉末である。
  • 水にわずかに溶ける。(熱水には溶ける。)
  • 約100℃で分解し、酸素を発生する。
  • 金属に接触すると、分解する。

火災予防の方法

  • 加熱、衝撃、摩擦を避ける。
  • 密栓して保存する。
  • 乾燥状態で保存する。
  • 金属との接触を避ける。

消火の方法

ページのトップへ戻る

ペルオキソほう酸アンモニウム(過ほう酸アンモニウム) NH4BO3

特徴

  • 無色の結晶である。
  • 約50℃で分解し、アンモニアを発生する。さらに加熱すると、酸素を発生する。
  • 濃硫酸に接触すると、酸素を発生する。

火災予防の方法

  • 加熱、衝撃、摩擦を避ける。
  • 密栓して保存する。

消火の方法

ページのトップへ戻る

炭酸ナトリウム過酸化水素付加物 2Na2CO3・3H2O2

炭酸ナトリウム過酸化水素付加物(たんさんナトリウムかさんかすいそ ふかぶつ)は、炭酸ナトリウムと過酸化水素が2:3の比で結合した付加物のことです。

炭酸ナトリウム過酸化水素化物(たんさんナトリウムかさんかすいそかぶつ)、過炭酸ナトリウム(かたんさんナトリウム)、過炭酸ソーダともいいます。

家庭向けの漂白剤などに用いられています。

特徴

  • 白色粒状である。
  • 特有の刺激臭がある。
  • 水に溶かすと、炭酸ナトリウム過酸化水素に分解する。
  • 水溶液は、弱塩基性である。(水溶液中の炭酸ナトリウムによるもの)

火災予防の方法

  • 加熱、衝撃、摩擦を避ける。
  • 密栓して保存しない
  • 分解を促進する金属(鉄、銅、アルミニウム等)との接触を避ける。

消火の方法

スポンサーリンク