熱膨張
熱膨張(ねつぼうちょう)とは、温度の上昇に伴って、物質の体積が膨張(体膨張)したり、長さが膨張する(線膨張)現象のことをいいます。
また、温度が1℃(K)上昇したときに膨張する割合のことを熱膨張率(ねつぼうちょうりつ)または熱膨張係数(ねつぼうちょうけいすう)といいます。単位はK-1(=1/K、毎ケルビンと読みます)で表されます。「1Kあたり」を意味します。
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体膨張と線膨張
熱膨張には、体積が膨張する体膨張と長さが膨張する線膨張の2種類があります。
体膨張
体膨張(たいぼうちょう)とは、体積が膨張することをいいます。増加する体積は、次のようになります。
増加する体積=元の体積×体膨張率×(上昇した温度-元の温度)
体膨張率
体膨張率(たいぼうちょうりつ)とは、温度が1度上昇したときに体積が膨張する割合のことです。体膨張係数(たいぼうちょうけいすう)ともいいます。記号は\(\alpha\)、単位はK-1で表されます。
物質の状態によって異なり、固体<液体<気体の順に大きくなります。(熱伝導率と大きさの順位が逆になります。)
線膨張
線膨張(せんぼうちょう)とは、長さが膨張することをいいます。増加する長さは、次のようになります。
増加する長さ=元の長さ×線膨張率×(上昇した温度-元の温度)
線膨張率
線膨張率(せんぼうちょうりつ)とは、温度が1度上昇したときに長さが膨張する割合のことです。線膨張係数(せんぼうちょうけいすう)ともいいます。記号は\(\beta\)、単位はK-1で表されます。
線路のつなぎ目
鉄道の線路は、夏場の温度上昇で線膨張により伸びて長くなります。レールの歪みを避けるためにレールとレールの間隔を空けています。
熱膨張は、固体、液体、気体によって異なります。それぞれの場合について見ていきましょう。
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固体の熱膨張
固体の熱膨張は、体積の変化と長さの変化について考えます。棒状の固体の場合は、体積の膨張である体膨張に加え、長さの膨張である線膨張も考えます。
一般的に、固体の体膨張率は、線膨張率の約3倍になります。これは、線膨張が長さのみの1方向の膨張であるに対して、体膨張が縦・横・高さの3方向の膨張であるためです。
液体の熱膨張
液体の熱膨張は、固体のときとは異なり、体膨張のみについて考えます。
液体危険物の運搬容器
運搬容器に液体の危険物を入れるとき、内容積の98%以下の収容率にすることや55℃の温度でも漏れない空間容積を取ることが法令で定められています。これは、熱膨張により液体危険物が漏れないようにするための措置です。
気体の熱膨張
気体の熱膨張は、液体のときと同じく体膨張のみ考えます。また、気体の体膨張率は、固体や液体と比べて非常に大きいという特徴があります。
シャルルの法則に従う
気体の体膨張率はシャルルの法則に従い、"どの気体でも"圧力が一定の時、温度が1℃上昇するごとに0℃のときの体積の273分の1ずつ膨張していきます。
また、この法則から、「気体の体積が0℃の時の2倍になるのは273℃の時」ということもわかります。
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