図解でわかる危険物取扱者講座

運搬と移送

ここでは、危険物の輸送に関すること学んでいきます。混合しやすい運搬移送ですが何を用いて輸送するかで区別されています。

運搬と移送の違い

結論を先に言ってしまうと、トラックなどの車両で輸送するのが運搬タンクローリーで輸送するのが移送になります。

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詳細についても確認していきましょう。

運搬

運搬とは、車両(トラックなど)によって危険物を輸送することをいいます。

車両で運ぶのが「運搬」

危険物の貯蔵・取扱いが指定数量以上で規制を受けるのに対し、運搬は、より危険性が高いため"指定数量未満であっても"消防法の規制を受けます。

「運搬」は指定数量以下でも、消防法が適用されます。

運搬容器の基準

危険物を安全に収納する基準が定められています。

  • 容器の材質は鋼板、アルミニウム板、ガラスなど危険物と反応しないものを用いる。
  • 堅固で破損する恐れがないものを用いる。

容器の外部に必要な表示

容器には次の事項を表示する必要があります。

容器の表示事項

  • 危険物の品名
  • 危険等級
    物品の危険性に応じてⅠ、Ⅱ、Ⅲの3段階に区分したもの。Ⅰが最も危険。
  • 化学名
  • 水溶性か否か(水溶性の第4類危険物のみ)
  • 数量(何Lかまたは何kgか)
  • 注意事項(火気厳禁、火気注意など)

積載方法

  • 危険物は、運搬容器に収納して積載する。
  • 運搬容器は、収納口を上に向けて積載する。
  • 容器の積み重ねは、高さ3m以下になるようにする。

容器の積み重ねは、3m以下

  • 固体の危険物は、内容積95%以下の収納率にする。
  • 液体の危険物は、内容率98%以下の収納率にする。さらに、55℃の温度でも液が漏れないように十分な空間容積をとる。

液体の危険物の内容積

  • 直射日光を避けるため、遮光性の被覆で覆う。(自然発火性物品や特殊引火物等のみ。)
  • 雨水を防ぐため、防水性の被覆で覆う。(禁水性物品等のみ。)
  • 保冷コンテナ等で温度管理をする。(第5類危険物の中で55℃以下で分解するもののみ。)
  • 第1類や第2類など類の異なる危険物を同一車両で運搬してはならない。

これを、混載禁止といいます。ただし、下で示した組み合わせは混載可能です。

第1類 第2類 第3類 第4類 第5類 第6類
第1類 × × × ×
第2類 × × ×
第3類 × × × ×
第4類 × ×
第5類 × × ×
第6類 × × × ×

また、指定数量の10分の1以下の危険物については、どの類とも混載可能です。

混載できる危険物の覚え方

上の表以外の覚え方としては、次のようなものがあります。

『類の数を足して7になる組み合わせは混載できます。また、4類は、足して6と9になる組み合わせは混載できます。』

書き方(考え方)を書いておきます。まず、上から縦に1類~6類まで書きます。

1類
2類
3類
4類
5類
6類

今度は、逆に下から1類~6類まで書きます。これで足して7になる組み合わせは完成です。

1類 | 6類
2類 | 5類
3類 | 4類
4類 | 3類
5類 | 2類
6類 | 1類

次に、4類に注目します。

4類は足して6と9になる組み合わせ、すなわち2類と5類とも混載可能なので、これを書き込みます。

1類 | 6類
2類 | 5類
3類 | 4類
4類 | 3類、2類5類
5類 | 2類
6類 | 1類

最後に、4類と混載可能な2類と5類の部分に『4類』を記載して完了です。

1類 | 6類
2類 | 5類、4類
3類 | 4類
4類 | 3類、2類、5類
5類 | 2類、4類
6類 | 1類

どうでしょうか、表で暗記するより、理屈(?)で覚えるため覚えやすいのではないでしょうか?

運搬方法

危険物を安全に輸送するための基準です。

  • 容器に激しい摩擦や動揺が起きないようにする。
  • 運搬中に災害が発生する恐れが生じた場合は、応急措置を講じるとともに、最寄りの消防機関に通報する。

指定数量以上の危険物を運搬するとき

  • 消火設備を備える。
  • 0.3m四方の地が黒色の板に黄色の文字で「」の標識を車両の前後の見やすい所に掲示する。(移送の場合は、標識のサイズが0.3m平方以上0.4m平方以下になります。ご注意下さい。)

『危』の標識

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移送

移送とは、移動タンク貯蔵所(タンクローリー)によって危険物を輸送することをさします。

タンクローリーで運ぶのが「移送」

基準

危険物の性質の応じて注意事項を掲示します。

  • 危険物取扱者を乗車させる。
  • 免状の携帯が必要である。免状のコピーは不可である。

移送するときは、免状が必要。

  • 移送前にタンク、消火器等の点検を行う。
  • 連続運転時間が4時間を超える移送』または『1日当たり9時間を超える移送』のような長時間の移送の場合、2人以上の運転要員が必要である。
  • アルキルアルミニウム等を移送する場合、移送経路等を書いた書面を消防機関に送付しておく。(アルキルアルミニウム第3類危険物の物品で、空気に触れると発火する危険な物質です。)
  • 0.3m平方以上0.4m平方以下の地が黒色の板に黄色の文字で「」の標識を移送タンク貯蔵所の前後の見やすい所に掲示する 。(運搬の場合は、標識のサイズが0.3m四方になります。ご注意下さい。)

『危』の標識

車両に備え付けが必要な書類

以下の書類は、写しではだめなことに注意してください。

  • 完成検査済証
  • 定期点検記録
  • 譲渡・引渡届出書
  • 品名等変更届出書

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