図解でわかる危険物取扱者講座

特殊引火物

特殊引火物の引火点・沸点・発火点

特殊引火物(とくしゅ いんかぶつ)とは、1気圧において発火点が100℃以下のもの、または、引火点が-20℃以下で沸点が40℃以下のものを指します。

第4類危険物の中でも、とりわけ発火点が低いもの、気化しやすいものが該当します。はじめに、発火点沸点、そして引火点が第4類危険物の中で最も低い物品をまとめてご紹介します。

第4類危険物の中で最も低い発火点を持つもの、最も低い沸点を持つもの、最も低い引火点を持つもの。

発火点が最も低い二硫化炭素沸点が最も低いアセトアルデヒド引火点が最も低いジエチルエーテルは、特に出題されやすい物質です。

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各物品の特徴、火災予防の方法、消火の方法の詳細は次のようになります。

二硫化炭素 CS2

二硫化炭素

二硫化炭素(にりゅうかたんそ)は、溶剤や殺虫剤、ゴムの加硫、他の化学物質を作るための原料などとして用いられます。ゴム工場やレーヨン工場などで使用されることが多い物質です。

溶剤として優れており有機化合物のほか、硫黄黄りんも溶かすことができます。

水より重く、水に溶けない性質を利用して水中保存を行います。この保存方法によって二硫化炭素の揮発を防ぐことができます。

また、二硫化炭素中毒になると精神障害などを引き起こす危険性があります。

特徴

  • 発火点が第4類危険物中で最も低い。(90℃)高温の蒸気配管等と接触するだけでも発火する危険性がある。

二硫化炭素は、第4類危険物の中で発火点が最も低い。

  • 有毒な蒸気を発生する。
  • 不快臭がある。
  • 水より重い。(液比重が1より大きい。)
  • 液比重が第4類危険物の中で最も大きい。(1.3)(グリセリンも同じ)
  • 水に溶けない
  • 燃焼すると有毒な亜硫酸ガス(二酸化硫黄)を発生する。

二酸化硫黄

火災予防の方法

  • 蒸気を溜めないように、通風換気をよくする。
  • 水より重く水に溶けないので水中保存する。

二硫化炭素の水中保存

消火の方法

  • 耐アルコール泡、二酸化炭素、粉末による窒息消火
  • 水封(水を張ること)による窒息消火
  • 水による冷却消火

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アセトアルデヒド CH3CHO

アセトアルデヒド

酢酸エチルを合成するための原料として利用されています。沸点が低いことと燃焼範囲が広いことを特徴としています。沸点が20℃であり、特に夏場に気温が沸点を超える危険性があります。

特徴

  • 沸点が第4類危険物中で最も低い。(20℃)

アセトアルデヒドは、第4類危険物の中で沸点が最も低い。

  • 夏期に気温が沸点(20℃)を超える危険性がある。

夏期注意!

  • によって、メタン一酸化炭素に分解する。
  • 酸化すると酢酸になる。
  • 燃焼範囲が危険物の中で最も広い。(4~60vol%)
  • 有毒な蒸気を発生する。
  • 刺激臭がある。
  • 水より軽い。(液比重が1より小さい。)
  • 水によく溶ける

火災予防の方法

  • 蒸気を溜めないように、通風換気をよくする。
  • 冷却装置等で沸点以下に管理する。
  • 鋼製の容器に保管する。(銀や銅とは爆発性の化合物を生成する危険性があるため。)
  • 不活性ガスを封入して保管する。

消火の方法

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ジエチルエーテル C2H5OC2H5

ジエチルエーテル

ジエチルエーテルは、エチルエーテル硫酸エーテルといった別名もあります。また、単にエーテルというときはジエチルエーテルを指すことが多いです。

有機溶媒や麻酔薬、燃料などとして利用されています。引火点が-45℃であり、冷凍庫の中でも引火の危険があります。

特徴

  • 引火点が第4類危険物中で最も低い。(-45℃)

ジエチルエーテルは、第4類危険物の中で引火点が最も低い。

  • 麻酔性の蒸気を発生する。
  • 刺激臭がある。
  • 水より軽い液比重が第4類危険物中で最も小さい。(0.71)
  • 水に少し溶ける

火災予防の方法

  • 蒸気を溜めないように、通風換気をよくする。
  • 冷却装置等で沸点以下に管理する。
  • 爆発性の過酸化物(ジエチルエーテルペルオキシド)を生じるため、直射日光を避ける。

直射日光を避ける!

このため、ジエチルエーテルの入った古い容器を開ける場合、フタを回すときの摩擦熱で過酸化物が反応し容器ごと爆発する危険性があります。

また、酸化を低減するために抗酸化剤が含まれている場合もあります。

消火の方法

  • 耐アルコール泡、二酸化炭素、粉末による窒息消火

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酸化プロピレン(プロピレンオキサイド) CH3CHCH2O

酸化プロピレン(プロピレンオキシド)

プロピレンオキサイドプロピレンオキシドともいいます。

他の化学物質を合成するための原料として用いられることが多いです。沸点が35℃であるため、夏場には気温が沸点を超える危険性があります。

余談ですが、1964年に起こった昭和電工川崎工場爆発事故(しょうわでんこう かわさきこうじょう ばくはつじこ)の原因物質でもあります。

特徴

  • 夏期に気温が沸点(35℃)を超える危険性がある。

夏期注意!

  • 開環重合すると、ポリプロピレンオキサイドになる。
  • 開環重合する際にを発生し、火災の原因となることがある。
  • 金属(など)に触れると重合が促進されやすい。
  • 塩素アンモニアと反応し発火爆発する危険性がある。
  • 有毒な蒸気を発生する。
  • 皮膚につくと凍傷のようになる危険性がある。

凍傷のようになる危険性あり

  • 水より軽い。(液比重が1より小さい。)
  • 水によく溶ける

火災予防の方法

  • 蒸気を溜めないように、通風換気をよくする。
  • 冷却装置等で沸点以下に管理する。
  • 不活性ガスを封入して保管する。

消火の方法

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