第1石油類
第1石油類とは、1気圧において引火点が21℃未満の引火性液体を指します。特殊引火物に次いで危険度の高い危険物です。
非水溶性のものはガソリンが、水溶性のものはアセトンがとりわけ重要な物品です。
乙4試験の中でも最も出題されやすい項目です。引火点や沸点の具体的な数値まで記憶しましょう。
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それぞれの物品の特徴、火災予防の方法、消火の方法は次のようになります。
ガソリン(工業ガソリン、自動車ガソリン)
ガソリンとは、沸点が30~220℃の原油留分のことです。なお、留分(りゅうぶん)とは、液体混合物を蒸留し沸点別に得られる各成分のことをいいます。
日本工業規格(JIS)では、用途別に工業ガソリン、自動車ガソリン、航空ガソリンの3つに分類されています。
消防法で扱われるのは、この内、工業ガソリン(JIS K2201)に属するベンジン(1号)、ゴム揮発油(2号)、大豆揮発油(3号)、そして自動車ガソリン(JIS K2202)になります。
特徴
- 引火点が低い。(-40℃以下, 自動車ガソリン)
- 沸点が低い。(40~220℃, 自動車ガソリン)
- 水より軽い。(液比重が1より小さい。)
- 水に溶けない。(非水溶性)
- 特有の臭気がある。
- 蒸気を過度に吸引すると頭痛、目まいを引き起こす。
- 加鉛ガソリンは毒性がある。
加鉛ガソリン(有鉛ガソリン)
加鉛ガソリン(かえんガソリン)とは、アルキル鉛が添加されたガソリンのことです。有鉛ガソリン(ゆうえんガソリン)ともいいます。
火災予防の方法
- 蒸気を溜めないように、通風、換気をよくする。
- 静電気を溜めないようにする。
消火の方法
- 泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物による窒息消火。
ベンゼン C6H6
ベンゾールともいいます。下で述べるトルエンと性質が似ています。セットで覚えるといいでしょう。
ベンゼンは、元々、有機溶剤として用いられていましたが、その強い毒性(発がん性)から使用されなくなりました。(その代わりとしてトルエンなどが用いられるようになりました。)現在では、他の化学物質を作るための原料として使われることが多くなっています。
特徴
- 引火点が低い。(-10℃)
- 有毒な蒸気を発生する。(吸引すると中毒症状が出る。)
- 芳香臭がある。
- 水より軽い。(液比重が1より小さい。)
- 水に溶けない。(非水溶性)
- 冬期に固化したものでも引火の危険性がある。
火災予防の方法
- 蒸気を溜めないように、通風、換気をよくする。
- 静電気を溜めないようにする。
消火の方法
- 泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物による窒息消火。
トルエン C6H5CH3
トルオールともいいます。ベンゼンとトルエンは、性質がよく似ていますが、毒性はトルエンの方が低いです。有機溶剤として利用されることが多い物質です。特にシンナーの主成分として知られています。
特徴
- 引火点が低い。(5℃)
- 有毒な蒸気を発生する。
毒性はベンゼンより低いですが、長期に吸引し続けた場合、脳障害を負うともいわれています。
- 特有の臭気がある。
- 水より軽い。(液比重が1より小さい。)
- 水に溶けない。(非水溶性)
火災予防の方法
- 蒸気を溜めないように、通風、換気をよくする。
- 静電気を溜めないようにする。
消火の方法
- 泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物による窒息消火。
メチルエチルケトン CH3COC2H5
Methyl Ethyl KetoneからMEK、またはエチルメチルケトン、2-ブタノンともいいます。合成樹脂の原料や有機溶媒などとして用いられます。
特徴
- 引火点が低い。(-7℃)
- アセトンに似た臭気がある。
- 水より軽い。(液比重が1より小さい。)
- 水にわずかに溶ける。(しかし、区分は非水溶性)
- 過酸化水素と反応し、メチルエチルケトンパーオキサイドを生成する。
火災予防の方法
- 蒸気を溜めないように、通風、換気をよくする。
消火の方法
- 耐アルコール泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物による窒息消火。(メチルエチルケトンは、水に溶けるため耐アルコール泡を使う)
酢酸エチル CH3COOC2H5
果実油に含まれる物質です。有機溶剤の他、食品添加物や香気成分としても利用されています。
特徴
- 引火点が低い。(-3℃)
- 果実のような芳香臭がある。
- 水より軽い。(液比重が1より小さい。)
- 水にわずかに溶ける。(しかし、区分は非水溶性)
火災予防の方法
- 蒸気を溜めないように、通風、換気をよくする。
- 静電気を溜めないようにする。
消火の方法
- 耐アルコール泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物による窒息消火。(酢酸エチルは、水に溶けるため耐アルコール泡を使う)
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アセトン CH3COCH3
ジメチルケトンともいいます。有機溶剤として用いられることが多いです。用途は多岐に渡りますが、身近な例では、マニキュアの除光液としても使用されています。
特徴
- 引火点が低い。(-20℃)
- 特異臭がある。
- 水より軽い。(液比重が1より小さい。)
- 水によく溶ける。(水溶性)
火災予防の方法
- 蒸気を溜めないように、通風、換気をよくする。
消火の方法
ピリジン C5H5N
悪臭があります。大学で有機合成の実験を行ってきた方は、有機溶媒として使うピリジンの臭いに悩まされた方も多いのではないでしょうか。
特徴
- 引火点が低い。(20℃)
- 有毒な蒸気を発生する。
- 悪臭がある。
- 水より軽い。(液比重が1より小さい。)
- 水によく溶ける。
火災予防の方法
- 蒸気を溜めないように、通風、換気をよくする。
消火の方法
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