硝酸
硝酸(しょうさん)は、一般には、HNO3で示される化合物というより、HNO3が約65%含まれた水溶液のことを指します。
強酸性の液体で銀や銅のような金属を溶かしてしまいます。また、有機物と反応して発火することがあるので、木くずや紙、ボロ布などと接触しないように気をつける必要があります。
火薬や肥料、染料、硝酸塩の原料として使用されます。
甲種を受ける方は、第1類危険物の硝酸塩類、第5類危険物の硝酸エステル類もまとめて見ておくと良いでしょう。
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硝酸 HNO3
特徴
- 無色の液体である。
- 粘性がある。
- 酸化力がある。
- 水に溶ける。(強酸性である。)
- 日光や加熱により黄褐色(おうかっしょく)になり、酸素と二酸化窒素を生成する。
- イオン化傾向の小さい銀や銅をも腐食させる。
- ステンレスは、表面に耐食性の酸化皮膜ができるため腐食されない。
- 皮膚に触れると、薬傷(やくしょう)を生じる。
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希硝酸と濃硝酸の違い
濃度が低い硝酸水溶液を希硝酸、濃度が高い硝酸水溶液を濃硝酸といいます。
希硝酸は強酸であるのに対して、濃硝酸は弱酸です。濃硝酸が弱酸であるのは、水溶液中に含まれている水が少なく電離できる硝酸分子の量が少なくなるためです。
発煙硝酸
濃硝酸の中でも濃度が98%以上の硝酸水溶液のことを特に発煙硝酸(はつえん しょうさん)といいます。濃硝酸に二酸化窒素を加圧し、飽和させて作られます。色が硝酸と異なっていることがポイントです。
特徴は次の通り。
- 赤褐色(せっかっしょく)の液体である。
- 硝酸よりも強い酸化力を持つ。
- 空気中で有毒な二酸化窒素を発生させる。
なお、発煙硝酸の『火災予防の方法』、『消火の方法』、『流出した時の対応』は、硝酸と同じです。
火災予防の方法
- 直射日光を避ける。
- 可燃物との接触を避ける。
- 密栓して、冷暗所に保管する。
- ステンレス、アルミニウム製の容器で保存する。
消火の方法
- 硝酸自体は燃焼しないので、燃焼物に適した消火剤を用いる。
流出した時の対応
- 乾燥砂で流出を防ぎ、水で希釈しつつ、ソーダ灰や消石灰で中和する。(対応時は、防毒マスクを着用し、風上で作業する。)
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