図解でわかる危険物取扱者講座

ニトロ化合物

ニトロ化合物

ニトロ化合物とは、ニトロ基(-NO2)をもつ有機化合物のことです。

ここでは、火薬として使われるピクリン酸トリニトロトルエンの2つの物質について学びます。金属への反応性の違いについて着目しながら確認していきましょう。

ピクリン酸(トリニトロフェノール) C6H2(NO2)3OH

  • ピクリン酸(トリニトロフェノール)の構造式
  • ピクリン酸  

火薬として用いられてきた物質です。日露戦争で活躍した下瀬火薬(しもせかやく)の主成分でもあります。

不安定で爆発事故を起こす危険性があるため、より安定なトリニトロトルエン(TNT火薬)が主要な火薬として使用されるようになりました。

現在では、分析用の試薬として使われています。

特徴

  • 黄色の結晶である。
  • 無臭である。
  • 引火性がある。
  • 苦味がある。(有毒
  • 冷水に溶けない。(熱湯には溶ける。)
  • アルコールに溶ける。
  • ジエチルエーテルに溶ける。
  • 急激に加熱すると、約300℃で猛烈に爆発する。
  • 金属と作用し、爆発性の金属塩をつくる。
  • よう素硫黄アルコールガソリンと混合し、摩擦や打撃を与えると爆発する。

火災予防の方法

  • 加熱、衝撃、摩擦を避ける。
  • 乾燥を避けて保存する。

消火の方法

  • 注水による冷却消火を行う。(しかし、火が付くと消火困難である。)

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トリニトロトルエン(T.N.T.、トリニトロトルオール) C6H2(NO2)3CH3

  • トリニトロトルエンの構造式
  • トリニトロトルエン 

正式名称は、2,4,6-トリニトロトルエンといいます。トリニトロトルオールや略称のTNTといった名前でも呼ばれます。

TNT火薬の名称で爆薬・火薬として用いられます。

上で紹介したピクリン酸より やや安定しています。ピクリン酸が金属と反応し爆発性の金属塩を生成するのに対し、トリニトロトルエンは金属と反応しないことを覚えておきましょう。

特徴

  • 淡黄色(たんこうしょく)の結晶である。日光に当たると茶褐色(ちゃかっしょく)に変わる。
  • 固体よりも熱で溶融した状態の方が衝撃に対して鋭敏である。
  • 水に溶けない。
  • 加熱するとアルコールに溶ける。
  • ジエチルエーテルに溶ける。
  • 金属とは作用しない

火災予防の方法

  • 火気、打撃を避ける。

消火の方法

  • 注水による冷却消火を行う。(しかし、火が付くと消火困難である。)