その他政令で定めるもの
4種類の物質が政令で指定されています。
品名 |
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金属のアジ化物 |
硝酸グアニジン |
1-アリルオキシ-2,3-エポキシプロパン(アリルグリシジルエーテル) |
4-メチリデンオキセタン-2-オン(ジケテン) |
重要なのは、「金属のアジ化物」で指定されているアジ化ナトリウム、そして硝酸グアニジンです。
1-アリルオキシ-2,3-エポキシプロパンと4-メチリデンオキセタン-2-オンは元々、第4類危険物の第2石油類に指定されていました。
しかし、危険物確認試験により自己反応性を有することが確認されたため、2010年9月から第5類危険物として扱われることになりました。
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それでは、物質の特徴、火災予防の方法、消火の方法を見てみましょう。
アジ化ナトリウム NaN3
「金属のアジ化物」で指定されている化合物です。「金属のアジ化物」とは、アジ化水素HN3の水素が金属に置き換えられた化合物の総称のことを指します。
アジ化ナトリウムは、起爆剤や防腐剤などに使用されています。日本では、起爆性を利用して自動車のエアバックに使われていましたが、有毒性を考慮し現在では使用されていません。
特徴
- 無色の板状結晶である。
- 水に溶ける。
- エチルアルコールに溶けにくい。
- ジエチルエーテルに溶けない。
- 加熱すると、300℃で金属ナトリウムと窒素に分解する。
- 酸と反応すると有毒で爆発性のアジ化水素(アジ化水素酸ともいう)が生じる。(アジ化ナトリウム自体には爆発性はない。)
- 水存在下で、重金属と反応すると極めて爆発性が高いアジ化物を生成する。
- 皮膚に触れると炎症を起こす。
火災予防の方法
- 酸や金属粉と隔離して保管する。
- 直射日光を避ける。
- 換気の良い冷暗所に保管する。
消火の方法
硝酸グアニジン CH6N4O3
グアニジン(HN=C(NH2)2)の硝酸塩です。混合爆薬の成分やロケットの推進剤として用いられる物質です。
特徴
- 白色の結晶である。
- 水に溶ける。
- アルコールに溶ける。
- 強力な酸化剤である。
- 加熱、衝撃により爆発の危険性がある。
- 有機物に接触すると発火する。
火災予防の方法
- 加熱、衝撃を避ける。
消火の方法
- 注水による冷却消火を行う。
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1-アリルオキシ-2,3-エポキシプロパン
(アリルグリシジルエーテル)C6H10O2
接着剤・樹脂・塗料の添加剤や農薬の安定剤などとして使用されています。
特徴
- 白色の結晶である。
- 水に溶ける。
- アセトンやトルエンに溶ける。
- 特徴的な臭いを有する。
- 皮膚や目に対する刺激がある。
- 爆発性の過酸化物を生成する危険性がある。
- 重合による反応熱で火災・爆発の危険性がある。
- 酸や塩基による反応熱で火災・爆発の危険性がある。
火災予防の方法
- 加熱、衝撃を避ける。
消火の方法
- 乾燥砂による窒息消火を行う。
4-メチリデンオキセタン-2-オン(ジケテン)C4H4O2
ケテン(CH2=C=O)が二量化してできた物質です。このことからジケテンともいいます(「ジ」は2の意味)。
医薬品や顔料、染料、農薬などの原料として使用されています。
特徴
- 無色の液体である。
- アセトンに溶ける。
- 刺激臭を有する。
- 催涙性がある。
- 有毒である。(呼吸器に障害をもたらす。)
- 不安定で分解重合する。
- 500℃以上に加熱すると、ケテンに分解する。
- 33℃以上で、空気との爆発性混合ガスを生じる危険性がある。
- 水や酸、塩基による反応熱で火災・爆発の危険性がある。
火災予防の方法
- 加熱、衝撃を避ける。
- 重合してしまうので、長期保存を避ける。
消火の方法
- 乾燥砂による窒息消火を行う。
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